■毎回新鋭のヨーロッパのプロデューサーを起用することが多いのに、今回はティンバランドやファレル・ウィリアムスといった、すでにビッグネームで大成功しているアメリカの人気プロデューサーと組んでいますね。一緒にやろうと思った理由は何ですか?

「私はこれまでも、自分が聴いているレコードのアーティストと仕事をしてきただけなの。ミルウェイズの音楽を聴いたときは、「あ、この人と仕事したいわ」って言って、そして実際にやったわ。それからスチュワート・プライスのレコードを聴いて、また「あ、この人と仕事したい」って言ったのよ。だからジャスティン・ティンバーレイクの最新アルバムを聴いていたとき、同時にティンバランドの曲がたくさんラジオでかかっていて、それで「彼らと一緒にやりたいわ」って言ったの。だからアメリカ対ヨーロッパみたいな面は全然なくて、ただこれが今の私を興奮させるものなの。彼らの音楽にハマっているのよ。」

■スムーズに実現しましたか?
「電話帳で番号を調べて……。っていうのは、ウソ(笑)。アハハハ(笑)! 私のマネージャーが各アーティストのマネージャーに電話をしたの。実はジャスティンとティンバランドのふたり、もしかしたらファレルもそうだった気がするけど、彼らから「1曲共演したい」的なオファーをもらっていたから、「1曲だけじゃなくて、アルバム1枚一緒に作らない?」って私から持ちかけたのよ。作業はスムーズだったけど、何しろみんな私以上に多忙だったから、みんなのスケジュールを調整するのが難しかったわ。」

■一緒に手がけた最初の曲は?
「ファレル・ウィリアムスと共作した『キャンディー・ショップ』が最初の曲。この曲を作っていたときの私の“生意気”で“楽しみたい”という気分を具現化していて、言葉遊びのアイデアもいいと思ったの。踊りたくなるし、いろんな風刺が詰まったナンバーよ。」

■アルバムの1曲目に入っていますよね? アルバムタイトル『ハード・キャンディー』にも関連していますよね?
「そうよ。この曲を1曲目に持ってくることで、新作のバラエティーに富んだテイストを示したかった。ほら、キャンディーショップへ行くと、いろんなお菓子が楽しめるでしょ? このアルバムを聴いたときにも、そういう気持ちを楽しんでもらえるのを願っているわ。だからアルバムタイトルを『ハード・キャンディー』にしたのよ。」

■今回、曲作りの面で特にこだわった点はありますか?
「私は彼らに「リスナーが一度聴いたら頭から離れなくなるようなキラーソングを作りたいの」ってお願いしたわ。」

■前作に引き続き、ダンスアルバムにしようと思ったのは?
「前作を作ってわかったのは、人々が本当にダンスミュージックを愛しているってことだったわ。だから、「それならもっと作りましょう」って思った。でも、違うフレーバーでね。」

■もともとマドンナさんは、ミュージシャンではなくダンサーとしてプロの世界で成功することを目指して、ニューヨークへ出てきたんですよね。
「そうよ。私はダンサーから始めたから、私の人生でずっとダンスは大きな位置を占めているの。ダンスは私が最初に、私の創造的、芸術的表現を見いだした場所で、私がいちばん愛しているのはいつだってダンスなのよ。だから音楽を作るときも、「何がみんなを踊らせるかしら」ということを考えるのよ。」

■最近、自分で踊るときにはどんな音楽をかけているんですか?
「今回一緒に仕事をしているジャスティン・ティンバーレイクやティンバランド、ファレルの音楽はもちろん気に入っているからずっと聴いているわ。踊るときは何でもかけているわ。今の3人の作品に加えて、50セント、エミネム、リアーナ、ブリトニー・スピアーズ……。とにかく私が持っているレコード全部よ(笑)。リミックスアルバムも含めてね。」

■『フォー・ミニッツ』や『ビート・ゴーズ・オン』といった曲を聴いていると、“時間を無駄にできない”といった切迫感が感じられますが……。
「世界の情勢を見て、切迫感を感じているのよ。その切迫感はけっこう前から抱いていたものだけど、音楽をとおしてまだ表現したことがなかっただけ。だから、これらの曲だけでなくアルバムでは確かに切迫感を表現しているわ。地球の状態を考えると私たちに与えられた時間は限られているし、それに共感する人は大勢いるわ。その切迫感がポップカルチャーでも表現されるのは当然のことだと思う。」

■サウンド面では、前作に引き続いてマドンナさんの大好きなディスコビートを残しつつ、ティンバランドやファレル・ウィリアムスらしいざん新なR&B / ヒップホップが強調されているし、一方でダフト・パンクやジャスティスを想起させるフレンチエレクトロも入っていますよね? フレンチエレクトロも好きなんですか?
「もちろん好きよ。」

■『インクレディブル』のように、そういったサウンドがひとつの曲に混在していて、曲が進むうちに曲調がどんどん展開して、別世界に流れていくような感じがすごくいいですよね。
「『インクレディブル』はある音楽テイストから始まり、途中で突然まったく違う曲へと展開していくの。『シーズ・ノット・ミー』もそうだけど、音楽の旅へと誘うような楽曲ね。今、私はそういう曲が好きなの。私の好きな音楽ってジャンルを問わずに、あちこち飛ぶから(笑)。」

■レコーディング中、何かハプニングはありましたか?
「いろいろあったわ(笑)。そうね、同じスタジオでカニエ・ウェストがレコーディングしていたから、ラップで1曲参加してもらったの。ファレル、ジャスティン、カニエたちの仕事の進め方は、今回私が驚いたことのひとつだった。私はどうでもいいようなことまでこだわる細かいタイプで、あらゆることを順序立ててきちょうめんに進める主義。ところが、彼らはスタジオ入りする時点で何から取りかかるのかもいっさい決めていない。事前に準備したものが何もないから、1テイク録ったあとに何テイクもひたすら繰り返してレコーディングしていき、頭から最後まで全体像を丸暗記できるまで続けるの。つまり長時間かかるんだけど、レコーディングの過程では驚きの要素も生まれるからこそ、何回も録音したなかから最高のテイクを選ぶのよね。だから、レコーディングに6〜8時間はかかったはずよ。いろんな意味で勉強になったアルバム制作だったわ(笑)。」


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