■マドンナにとって“アメリカン・ドリーム”とは?
かつて私はアメリカン・ドリームをこんな風に思っていました。ちっぽけな田舎町から無名のまま出てくる。わずか35ドルを握りしめてニューヨークへね。「有名になってみせる。可能性は無限大よ」という心意気で。自分が、まさにそうでした。実際、世界中を旅してみると、他の国の人々に比べて、私たち米国人は恵まれていると実感します。それは確かにありがたい。でも同時に、私たち米国人が、間違った価値観に取りつかれているという気もします。
カッコよくなりたい、儲けたい、有名になって認められたい、というか、ただひたすら有名になりたいんですよ。テレビの影響もあって、有名志向が一人歩きしていますよね。特別な主張があるわけでもなく、きちんと努力をしてきたわけでもない。それは、アメリカン・ドリームの最も浅はかな一面でしょう。でも気づいたんです。カッコよくても、お金持ちでも、有名でも、それだけでは意味がないと。それ自体は幸福をもたらしてくれない。自分の中に正しい価値観を持たないとダメなんですね。大事なのは愛、そして人間同士で大切にし合い、思いやる気持ちです。
さて今はどうでしょう。世界ではいろいろなことが起きていて、米国もまた変な状況です。それでも私は米国人でいられて幸せです。なぜなら、自分の思いを語り、表現する自由があるから。それが今の私のアメリカン・ドリームです。


■アルバムの曲は、どうやって出来上がっていったのでしょう?
詩的なマジックというのかしら。音楽を聴くと、自然と歌が湧き出て来るのよ。私の中の何かを揺り動かすものがあって、気がつくと書き始めている。特にギターを弾けるようになってからは、他人に頼らずとも自分で曲を作れるし。その分、私らしさが出ているかもしれないわ。とにかく、ギターを弾き出すと、コードが、自分の中の感情や音を刺激してくれる。あとは意識の流れに身を任せるだけ。書き留めたものは持ち歩いているのよ。車、飛行機・・・、どこにいても読み返して、足したり、消したり、変えたりしている。常に作り続けているわ。

■ギターを弾くと、ステージ・パフォーマンスも変わりますか?
やはり忙しくなるわね。今じゃ、歌も、ギターも、ダンスもできる。選択肢が広がりました。でもギターは正確さを要求される分、ステージでの緊張も高まりますね。少なくとも前回のツアーではギターが一番大変でした。きちんと弾くのは難しいですもの。私、気が散る方だし。

■このアルバムを作るに当たって、ミルウェイズはどのように刺激を与えてくれましたか?
彼は人間としてもユニークだし、人生に対するものの見方も独特なの。音楽の聴き方もとても個性的。とにかく、すごく影響を受けているわ。彼は、ギターが抜群に巧いミュージシャンなのよね。しかも、シンセのプログラミングも得意で、未来的でテクニカルなサウンドを見事に創り出してしまうわけ。実験室の天才みたいな。一緒にいられてラッキーだわ。

■具体的には何をしてくれるのですか? テープを持ってきて聴かせるとか?
ステジオで遊んでるの。それぞれが1人で作業をする部分も多いしね。私は私で、ギターを使ってシンプルな曲を作ったりする。最終的な凝った仕上がりからは想像できないでしょうけど、もとのデモは居間で作った簡単なテープなのよ。私がギターで弾き語りをしているだけとか。それを彼に聴かせると、別の形に変えてくれる。あるいは、遊んでるうちに彼に案が浮かぶ。聴いてみると私がビックリして「最高!」と叫ぶ。「テープに入れてよ。私が歌うから」と。何でもありなのよ。

■アルバムでお気に入りの曲は?
「エックス・スタティック・プロセス」かしら。自分とギター1本だけでプレイしているから。ハーモニーも自分でやってるし。なぜか子供時代を思い出すのよね。シンプルでこの曲は好き。

■アルバムに登場する歌詞を解説してください。まず「How could it hurt you when it looks so good?=そんなに見た目がいいのに、悪いはずがないでしょ」は?
人が持っている幻想のこと。とかく美しいものは無害だと思いがちでしょ。

■「I tried to leave it, but I never could...=捨てようとしたけど無理だった」は?
エンターテインメント業界から完全に足を洗おうとする話なの。でも確かに幻想は崩れたけど、結局、ここは、私が好きなように語れる場所であるのよ。

■「Yes, father, you know I'm not so free...=そうよ、パパ、私は自由じゃないの」はいかがですか?
「マザー・アンド・ファザー」という曲は、母の死に直面した悲しみを克服する話なの。死を言い訳にしたり、自分を哀れんだり、特別扱いを求めたり、そんなのはダメ。もっと責任を持って、自分に正直に生きないと。特に父には、いつも反抗的な態度をとってきた。「好き勝手に自由にやるわ」とね。でも、それも本当の私じゃないの。

■自分を表現するには、歌を通しての方がやりやすい?
歌は私にとって表現の源だわ。そういう詩的な手段の方が、単純なQ&Aよりものびのびと語れるもの。自分は歌を通じて思いを伝えて、聴く人には自由に解釈してもらいたいのよ。具体的な解説を、押しつけたりせずにね。

■アルバムのアートワークでは何を意識したんでしょう?
チェ・ゲバラよ。それと革命的な考え方。世の中は変わる必要があると思う。真面目にね。それで革命を思わせるアイコンを探していたのよ。その点、ゲバラの肖像は有名でしょ。

■最後に、そのアートワークはアルバムのどんな面に通じているのでしょう?
曲に込めた思いや歌詞の革命性です。

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